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銅に関するQ&A銅について知る

耐食性・耐久性 2

Q16
先日、業務用冷蔵庫の冷媒管が設置後4年で穴が開いてガス漏れが発生しました。厨房排水から来るガスによるものとの工事担当会社から報告がありました。冷媒管を腐食するガスを教えてください。また、腐食するガス濃度といいますか、腐食する条件等も教えてください。また、対処方法などもわかりましたらお願いします。
A
  • 漏洩管を調査して腐食媒が何かを突き止めるのが正しいやり方と考えます。
  • 酢酸などの有機酸が腐食媒の一つに考えられ、その場合、蟻の巣状腐食が見られるはずです。
  • また、亜硫酸ガス、硫化水素などの硫化物の可能性もあります。この場合は、結露水に溶け強い酸となって腐食させます。
いづれにしても腐食媒が気体であれば、結露水がなければ起こらないと考えます。通常冷媒管は保温材で被覆されていて結露させないのが基本で、また、腐食媒には直接曝されにくいと考えます。繋ぎ部分、継手やバルブなどの保温材の端末処理が悪いとそこから腐食媒が侵入しますので、その辺も腐食防止のポイントです。
Q17
給湯管のエルボ部分からピンホールによる水漏れ事故が、この1年で4回もありました。4か所とも、別の部屋で、築22年になります。施工会社に尋ねると「経年劣化です。」の一点張りです。本当に、経年劣化なのでしょうか。
A
  • 正確な原因究明は、漏洩部分を確性調査しなければわかりません。
  • 長期使用を経た漏洩事例では、疲労割れが最も可能性が高いと考えます。これは、温度変化で伸縮する力が1点に集中した場合に起こります。しかしながら、これはあくまでも推測ですので繰り返しになりますが、正確には漏洩サンプルの調査が必要です。
  • なお、残念ながら当方では調査できません。銅管メーカーでの調査をお薦めしますが有料になると思います。
Q18
冷媒用銅配管は現在フロン(代替フロンを含めて)に使用されています。これをプロパン(純プロパン)冷媒に切り替えた場合の腐食性は、硫黄などが入っていないので問題ないと思いますが、文献はあるでしょうか。
A
  • プロパンに対し銅管を使用すること自体は問題ないと考えます。すでにプロパンボンベと機器との接続配管に銅管が使用されています。
  • プロパンのような可燃性ガスを冷媒として使用することに対し日本はとても慎重です。R32のような微燃性でも厳しい評価試験を経てからになります。なお、海外のルームエアコンでプロパン冷媒採用の動きあるようです。
Q19
ビニール袋の上からゴムで止めてあった銅製の医療機器の部品のゴムの下になっていたところに黒い汚れのようなものが確認されました。この黒い汚れのようなものは硫化銅でしょうか。酸化銅でしょうか。これらを取る術はありますか。体液に接触する医療機器ですので、なんらかの害があるようでしたら、メーカーに返品したいと思っております。
A
  • ゴムは銅の酸化促進作用によって酸化劣化を起こすことがあります。今回の生成物は、劣化したゴムの一部が付着したものと考えます。
    参考:合成ゴム材の劣化について
  • 当方では、診察机のTOPが黄銅製で、そこに置いた聴診器のゴムが劣化しべたべたして机に付着した事例を経験しています。
  • ゴム会社は耐銅害のノウハウを持っていますので、一度ご相談して見てはいかがでしょうか。ちなみに前述の聴診器のゴムは、メーカーに相談し耐銅害品に替えて問題が解消しています。
Q20
直方体タンクの中に水道水を溜めて、その水中に銅パイプφ19.5mm裸管を巻いたコイルを入れて、パイプ内に冷媒R404Aを流してパイプの周りに着氷させる蓄氷装置において(銅パイプは水面に対して上から挿入しておりタンクの蓋と水面の間には気相部があります。)、銅パイプの外側の腐食(特に気相部)によるパンクを危惧しております。水は1日に一回程度の頻度で入れ替わります。こういった使用条件における銅管の腐食、パンク事例は過去ありますか。
(発生確率は高いですか。)また、防食テープを巻くなど対応策はありますか。水に濡れて凍っても破損しないような防食テープをご存知でしょうか。
A
  • 氷蓄熱での銅管採用実績はあまり多くないと考えます。腐食事例について、個人的に知っているのは迷走電流による孔開き程度です。トラブル事例を最も有しているのはゼネコンでしょう。相談することをお薦めします。
  • ご検討の気相部での銅管の腐食に関しては、雰囲気次第です。腐食媒がなければ腐食はないはずです。
Q21
脱亜鉛腐食試験を行いたいのですが、貴センターで行えるのでしょうか。または、試験を行える施設を紹介していただけるのでしょうか。脱亜鉛腐食は、ISO6509-1981で規定されている方法で行いたいと思っております。
A
  • 当方では、試験設備等ありませんので当該試験は出来ません。
  • 芝浦工業大学大宮キャンパスの今井研究室で、かつて当該試験をやって頂いたことがあります。一度、ご相談して見てください
  • また、黄銅棒メーカーなら試験可能と考えますので、直接メーカーにお聞き願います。
Q22
一般的に鉄管(塩ビライニング鋼管)についての劣化度目安については資料およびデータの蓄積をしているのですが、銅配管については経年数からの判断以外にこれといった目安はなく、マウンドレス孔食または緑青の繁茂度合、ピンホール現象の発生度合にて判断をしている状況です。また、一般的な給水用鉄管と違い、突発的に漏水が起こることがあるため診断時の判断が難しいものとなっております。そこで貴センターもしくは参考となる文献にて「配管内の劣化度合い」について指標のようなものはありますか。
A
  • 銅管の腐食劣化に関しては、使用条件、施工などによってケースバイケースです。一般的な見方としては、10年程度経過して漏水事故など生じていなければこの先も起こる可能性は非常に低いと考えます。
  • 孔食など水質に起因する腐食は比較的早い段階で生じます。また熱変化による伸縮の繰り返しによる疲労割れに関しても10年以内に生じるのが一般的と考えるからです。
  • 一部抜管して診断してもらうやり方もありますが、上記に示すようにその可能性の低さからブレークダウンメンテナンスでいいのではと考える次第です。
Q23
冷蔵庫等の銅配管の腐食防止(硫黄や硫化水素等)に対応できる塗料などあるのでしょうか。硫黄等で銅パイプが腐食してガス漏れしてしまう為、対策を考えております。
A
  • 寿司屋のショーケースなどで酢による銅管の蟻の巣状腐食対策として塗装を用いることがあります。その際、Zn系塗料を用いると聞いたことがあります。
  • 問題は、硫化水素や硫黄酸化物等の雰囲気に直接銅管が露出していることにあるよう思いますが、避けられないのであれば塗装は1つの有効な対策と考えます
Q24
大規模店舗のエアコンの室外機が1階屋外に設置していますが、周囲にグリストラップが設置されていてその異臭によりエアコンの銅管が腐食して漏れたといわれました。特にこのエアコンの周囲では強烈な匂いはしませんでしたが、何か原因は特定できないでしょうか。また、銅管の腐食の調査はしていただけますか。
A
雰囲気中に腐食媒を含む場合、管外面の結露水に腐食媒が溶け込み銅管に外面腐食を生じた例はあります。腐食媒としては硫黄酸化物、有機酸、アルデヒド、アンモニア等が考えられます。
当方では残念ながら腐食の調査はできません。漏洩部分を銅管メーカーで調査してもらうことが、漏洩原因を特定する方法として確実と考えます。
Q25
銅配管の溶存酸素に対する腐食性について調べております。水温、水量、溶存酸素量により腐食の程度が変わるか教えてください。グラフ等ありましたら助かります。
A
  • 溶存酸素がなければ腐食は生じないと言っても過言ではありません。そのため給湯配管系に脱気装置を組み込む対策を講じている例もあります。 「給湯用銅管の動向と脱気を考慮した給湯用配管システム」伸銅技術研究会誌(1995)34巻P17鹿島建設松島
  • 潰食(エロージョンコロージョン)は過飽和になった溶存酸素が小さな気泡となって管壁をアタックして起こります。
  • このように溶存酸素は腐食に大きく影響しますが、濃度と腐食との関係についての文献は見たことがありません。
Q26
給水・給湯管で銅管を利用しています。この度床下に湿気対策で敷炭を行いたいと思っています。銅管に炭が直接触れても腐蝕等、何か問題あるのでしょうか。炭も高伝導体のようなので…。銅管と何がしかの影響があるのかお尋ねします。
A
炭は、すべて炭素でできていますので水分等を含んでも銅の腐食媒になる成分が溶出する可能性はないと考えます。従いまして特に問題ないと考えます。
Q27
地中に銅管通常の熱交換用のC1220Tを採用しておりますが、地中埋設に対する耐久性等について教えてください。
A
  • 地熱利用ということなので、できれば裸で直接土壌に埋設するのが効率よいと考えます。しかしながら土壌による腐食の可能性は避けられません。
  • 給水用に銅管を用いている地域では、これを避けるため埋設時に防食用の袋を採用しています。これを応用してはいかがでしょうか。
Q28
空調PACエアコンに使われているコイル部の銅管の腐食の事なのですが、コイル銅管部には、カチオン塗装を行って腐食防止を行っています。短期間での銅管腐食により冷媒ガスの漏れが発生しております。付近には酸が大量発生する物が無く原因が不明です。近くに排水処理設備があり、外気より侵入しての腐食が発生しているのでは?と思っております。この場合の腐食発生の原因となるガスは何種があるのでしょか。
A
  • 酢酸などの-COOH基を含んだ有機酸、またはアルデヒドなどによって生じた蟻の巣状腐食
  • アンモニアなどによる応力腐食割れ
  • 硫黄酸化物などによる酸による腐食
以上が、このケースに考えられる腐食ではないかと想定しますが…。
Q29
木橋の設計施工に携わっているものです。銅板とガルバリウム鋼板の耐久性・耐候性を比較した資料を探しております。場所は一般的な地域で沿岸部や工業地帯ではありません。材の厚みは0.3mm程度です。
Q30
築32年超のマンションの給排水菅の改修を検討しています。給湯管と暖房管は被覆銅管を使っています。長年使用した銅配管は内面に強固な酸化皮膜が形成されてそれ以上腐食は進行しないとの情報があります。給湯管は今回更新で交換との見積もりを業者からもらってます。暖房管は現在、風呂の配管に使用されています。材質的に銅配管は交換の必要がないのでは思っています。
A
  • 既に32年間何もなく使用して来たので、同じ使用環境であればこの先も無事と考えます。(私見)個人住宅ならばその考えで済むと思います。
  • 但し今回マンションで全面的に改修するということですので同一使用環境にはならないでしょうし、また専門家の判断で改修範囲を決めていると考えますのでそれに反論するのは得策でないように思います。
  • 参考までに、給湯銅管の耐用年数は、BELCAという団体が指標として15年、官庁営繕で30年としています。